「統計学が最強の学問である」という本の名前を聞いたことがあると思います。
「統計学が最強の学問である」は統計学初心者に一番おすすめな本です。この記事ではなぜおすすめなのかを看護を専攻している大学院生が解説していきます。

統計学初心者の皆さんは、
「統計が必修だけどなにをやっているのかわからない」「授業も難しいし、本はもっと難しい」と感じているかもしれません。
ですが、この本は本当に勧められるのでレビュー記事を書いていきます。
「統計学が最強の学問である」がおすすめな理由

結論から書きます。
一番の理由は「統計学の必要性についてこれ以上わかりやすく説明している書籍はないから」です。
本書の1章に「なぜ統計学が世の中で必要とされるのか」ということが数式を使わずに書いてあります。1章の部分だけでも定価1600円の価値があります。
以下の文章ではおすすめな理由だけでなく、不足している点も含めてレビューしていこうと思います。
本記事の内容は
- 「統計学が最強の学問である」の良い点
- 「統計学が最強の学問である」が不足している点
- 統計学初心者が読んで理解しておくべき重要項目7つ
- 他の本との比較(←執筆まだです。)
です。
「統計学が最強の学問である」の良い点4つ

①統計学の必要性についてこれ以上わかりやすく説明している書籍はない
先程これについては述べましたね。
本書では、統計学の必要性について形を変えて、何度も述べられています。
「がんを減らしたければとりあえず喫煙率を下げろ。以上!」(中略)といった疫学研究のシンプルな答えが侃々諤々の議論をすっ飛ばしたことで、医学研究と健康政策の方針は代わり、50年前よりも我々の寿命はずいぶんと伸びた。
西内啓著 統計学が最強の学問である p15
ほとんどすべての学問に関わる学者は統計学を使わざるを得ない時代がすでに訪れているし、統計リテラシーさえあれば、自分の経験と勘以上の何かを自分の人生に活かすことがずいぶんと簡単になる。
西内啓著 統計学が最強の学問である p23
詳しくは本書の第一章を読んでみてください。
- 統計リテラシー
- 統計学と疫学(公衆衛生)とのつながり
- 医学的根拠(エビデンス)とのつながり
- 野球や経済学とのつながり
- ITと統計学が結びついたことに関して
これらの例を出して、統計学の意義をわかりやすく説明しています。
②統計学について数式を使わずに説明している

この本は
「数式をできるだけ使わない」コンセプトでつくられています。
統計学を勉強していると、
- 確率論について(特に復元抽出あたり)
- 事後確率
- 回帰直線
- オッズ比
といったものを数式出して説明したくなってしまうのですが、本書はこれを避けています。
③知っていることを違う言葉で説明されると理解度が跳ね上がる

みなさんは
- わかっているようでわかっていない気がする…
- なんか腑に落ちない
- 文章として読めてる気がするけど、理解していない気がする
といった経験はないでしょうか?
このケースで必要なのは、
理解できそうなことを角度を変えて違う言葉でインプットすると、理解度が上がる
ということです。
中学生、高校生の時を思い出してみてください。
授業で説明される
↓
なんとなく分かった気になるけど問題は解けない
↓
問題を解いてみる
↓
なんとなく解けて、分かった気になる
↓
章末問題といてみて、半分しか解けない
↓
もう一回、基本に戻ると理解度が上がっている
こんな経験はないでしょうか。
統計学でも同じで、もう知っていることでも繰り返し、言葉を変えて説明されると理解が進みます。
④統計学の用語を読む練習になる

前の項目と関連します。
文字で統計学の考え方に触れておくと、授業で出てくる数式が理解しやすくなります。授業で数式に触れている場合には、その数式の意味を深く考えるきっかけになります。
また、数学用語に触れる回数が増えるほど、数式に対する心のハードルが低くなります。
「統計学が最強の学問である」が不足している点2つ

本書をディスるわけではありません。「書籍だからしょうがない点=本書で不足している点」に近いと思います。
①文字で説明しすぎている

これは長所である「数式をつかっていない」と裏表の関係になっていることです。
実は「ある程度理解していること」は数式でシンプルに書いてあるほうがわかりやすい場合があります。
例えば、
一次関数とは、独立変数\(x\)に対して、\(0\)でない係数\(a\)と\(b\)を用いて、\(ax+b\)を対応させるものである。
と文字で説明されるよりも、
一次関数とは、\(x\)という数に対し、\(y=ax+b\)(ただし、\(a \neq 0\))を対応させるもの
と説明したほうが簡単に説明できますよね
このように文字を使うことで読み手のレベルによっては分かりにくい場合が発生してしまっていることがあると思います。でも、仕方ないと思います。
文字の形式なので飽きる可能性がある

これは書籍であることに起因する短所です。
書籍は本の先頭から順序立てて説明してくれる代わりに、読み飛ばしたり重要なところだけ読むということが難しいです。
この本は300ページほどあるので、どこかで飽きてしまう、読まなくなってしまうこともあると思います。そこで次の章ではここは読んでおきたいという箇所を紹介します。
統計学初心者が読んで理解しておくべき重要項目4つ

統計学初心者が読んでおくべき章や項目についてまとめていきます。
医療者がみるべきところは別記事でまとめているのでリンクを貼っておきます。
1章「なぜ統計学が最強の学問なのか?」について
この章だけでも1600円払う価値があります。
33ページありますが、すべてに目を通して理解するのが良いと思います。
私から補足する情報はありません。
3章「誤差と因果関係が統計学のキモである」について
すべて読んでほしいですが、
- p58~ ナイチンゲール的統計の限界
- p65~ 世間にあふれる因果関係を考えない統計解析
- p79~ p値5%以下を目指せ!
- p92~ 「因果関係の向き」という大問題
は必須です。
私のブログで同じようなことを書いているので、よければ参考にしてください。リンクを置いておきます。
p58~の内容と同じこと ↓ (「有用な情報を取り出すとはどういうことか」の部分です)
p65~ p92~ と類似の内容↓
4章「『ランダム化』という最強の武器」について

p101の「『科学』の対象を拡大したランダム化比較実験」という章がめちゃくちゃ大事です。
当ブログでもランダム化がなぜ良いのかについて、ランダム化比較試験という医学研究について解説しています。リンクだけ置いておきます。
p192「統計学者が極めた因果の推論」について
因果の推論もめちゃくちゃ大事です。
当ブログでも記事を2つ書いています。片方のリンクだけ置いておきます。
まとめ

統計学が最強の学問であるをおすすめできるのは、
- 統計学の必要性についてこれ以上わかりやすく説明している書籍はないから
- 統計学について数式を使わずに説明しているから
- 知っていることを違う言葉で説明されると理解度が跳ね上がるから
- 統計学の用語を読む練習になるから
なのです。アマゾンリンクも貼っておきます。
他の本との比較(←執筆まだです。)
書け次第リンク置きます。
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この記事の内容は以上です。
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